ひまわり🌻の育て方・タネの取り方

１　ひまわりの育て方

ひまわりは北アメリカ原産でキク科の植物です。花ではキク、野菜ではレタスやゴボウ、野生植物ではタンポポなどの仲間です。

ひまわりには種類が多く、花の形や色に始まり、草の高さや開花するまでの栽培期間に大きな違いがみられます。用途には、花を観賞用、タネは植物油をつくる原料として、またタネそのものを食用に、また鳥のえさに利用されています。

 

ひまわりの栽培はとても簡単で、タネまきからおよそ２か月で開花し、その後さらにおよそ２か月でタネをとることができます。

・品種について

太陽の花といわれるひまわりは種類が豊富で、草丈が３ｍにもなる品種（高性種）から30cm程度の品種（矮性種）まであり、枝が多く出る分枝タイプや側枝の出ない１本立ちタイプがあります。花色は黄色のほかに淡黄色、赤色、赤褐色など豊富です。

コンテナ（プランター等）栽培では、土の量が限られるため、矮性品種が適しています。

 

・タネまき時期

ひまわりの生育適温は、20～30℃のため、栽培時期は５月から９月が最も適しています。また、発芽適温は25℃なので、遅霜の心配がなくなる４月以降で、真夏前の６月までがタネまきの最適期です。それより早くまく時は、ポットにまいて暖かい場所で発芽させます。15℃を下回ると極端に発芽揃いが悪くなるので、加温するなどできるだけ温度を高く確保してください。反対に、30℃を越えるような日中が暑い時期のタネまきは、夕方の気温が下降に向かう時間帯にタネまきしてください。

一般に、タネまき時期が遅くなるほど草丈は低くなり、タネまきから開花までの日数（到花日数）は短くなる傾向にあります。

 

・土と肥料

日当たりと水はけのよい花壇を選び、深さ40cmくらいまで耕し１m²当たり化成肥料^※100gと完熟堆肥^※３～５kgをすき込むように施します。

※一般の化成肥料はチッソ、リン酸、カリの３要素が10%前後含まれています。

※完熟堆肥とは、堆肥の中でも分解・発酵が十分に行われたものを指し、腐葉土など植物繊維を用いた「植物質堆肥」がおすすめです。

深型コンテナでは、用土10リットル当たり化成肥料10ｇと完熟堆肥0.5kgを施します。

市販の用土（培養土などの名称で販売）には適量の肥料が含まれ、病原菌がないので、安心です。

ポットにまく時は、市販の用土（たねまき用培土などで販売）を使いましょう。ポリポットの大きさは7.5～9cmを使います。

 

・タネまきの仕方

花壇やコンテナにタネを直接まく方法（直まき栽培）と、ポットで苗を育て植え付ける方法（移植栽培）があります。共に、育てる間隔（株間）は30cm程度が標準ですが、高性種では30cm以上、矮性種では30cm以下、またいずれも大きな花を咲かせたい場合は、これより広く、一方小さく咲かせたい場合は株間を15～20cmにします。

タネは、一か所に２～３粒を少し離してまき、まく深さは１cmとして、しっかり土を掛けておき、発芽まで乾かさないように水やりをします。発芽適温であれば、１週間前後で発芽します。

 

・間引き

発芽して本葉が２～３枚の頃までに、生育のよい株を残すように間引きし、１か所１本にします。

・植え付け（ポットで苗を育てる場合）

ポットで苗を育て移植する場合は、３週間ぐらいの育苗期間をへて、本葉３～４枚ころが植え付け適期です。

 

・日頃の管理

草丈の背の高い高性種は本葉５～６枚のころに、茎のその上を切り取る（摘心という）と脇芽が伸びていくつもの花が咲きます。

晴天が続き、土が乾くと葉が枯れて落ち始めますので、定期的にたっぷり水やりします。コンテナ栽培ではとくに乾きやすいので、夏場は朝と夕に水やりが必要です。

草丈が高くなる品種は、成長すると茎が倒れやすくなるため、支柱を添えます。

 

・追肥

タネまき後（または、植え付け後）、開花まで月に１度、花壇では１m²当たり化成肥料50g、コンテナ栽培では10gを与えます。

・病気と害虫

　雨の日が続くと「べと病」、乾燥が続くと「うどんこ病」が発生することがあります。また、害虫では高温乾燥が続くと「ハダニ」「コナジラミ」などがつくことがあります。発生をみたら、対象病害虫に適応のある農薬を適切に使いましょう（表）。

 

・花の収穫（切り花）

 

花弁が完全に開き、外側の管状花が開花したころ、50cm程度の長さで切り取ります。その後、上部葉３～４枚残 して下葉を落とします。

 

月	4	5	6	7	8	9	10	11
まき時	★ー	ーー	ー★
開花期			🌻	ー ー	ー🌻
タネどり					●ー	ーー	ー●

 

表　病気と害虫の症状と対策

 

病害虫名	症状	対策	農薬を使う場合（一例）
べと病	葉の表側では淡黄緑色の小斑点を生じ、やがて健全部との境がはっきりしない病斑となり、その裏側には淡灰色のカビを生じる。	・連作をしない。 ・密植を避ける。 ・抵抗性品種を使う。 ・農薬で防除。	・オーソサイド水和剤80
うどんこ病	うどん粉を振りかけたように葉に粉状の白いかびを生じる。	・過剰な肥料を避け、過繁茂にならないように心掛ける。 ・農薬で防除。	・ベニカXファインスプレー ・サンクリスタル乳剤 ・ダコノール1000
アブラムシ	植物の汁を吸い、体は小さく太く短くて軟らかい。	・洗い落とす。 ・2倍希釈の牛乳散布。 ・農薬で防除。	・粘着くん（デンプン製剤） ・ベニカXファインスプレー ・マラソン乳剤 ・スミチオン乳剤
コナジラミ	葉裏から汁を吸って生育を止め、すす病をはじめさまざまな病気をもたらす。	・洗い落とす。 ・2倍希釈の牛乳散布。 ・農薬で防除。	・ベニカXファインスプレー ・スミチオン乳剤
ハダニ	体長約0.3～0.5㎜の害虫で、暖かい時期に発生しやすく、植物を食害して弱らせる。	・洗い落とす。 ・農薬で防除。	・粘着くん（デンプン製剤） ・サンクリスタル乳剤 ・ベニカXファインスプレー ・ベニカR乳剤 ・マラソン乳剤

　　　注：農薬のラベルには農薬安全使用基準が記されていますので、これに従って使用してください。

 

２　ひまわりのタネの取り方
 

ひまわりの花はひとつの花ではなく、多くの花の集合体（頭状花）です。花びらにみえる部分を舌状花、中心部の花びらのない部分を筒状花と呼び、たくさんあるこの部分がタネになります。

・タネがとれる品種
市販の品種がすべてタネどりできるわけではありません。固定種がといい、品種の特徴が親から子へと受け継がれるタネであることが必要です。これに対し、一代雑種はF₁（エフワン）ともいいますが、これらの子は親の特徴を示すとは限りません。また、切り花にするときは、花粉がでない特徴が望まれていますので、一代雑種には花粉のでない品種もあります。

・肥料（追肥）と水やり

花が咲いてから、花壇では１m²当たり化成肥料を100g、コンテナでは用土10リットル当たり化成肥料10ｇをまいて、軽く土を掛けておきます。開花からタネどりまで長期間となり、特に暑い季節のため、その間水やりが必要です。特にコンテナ栽培では朝夕に水やりをしてください。

・タネをとる時期

ひまわりは、花が枯れてからタネが成熟し始めるので、開花後1か月半～２か月放置するとタネどりができます。開花後は花冠全体を袋状のネットを被せるなどして、鳥たちから守りましょう。

 

・タネの収穫
花冠の中心にあるタネを数個採取し、指で強く押しても潰れないくらい硬かったら、タネは成熟しています。花冠の真下をハサミで切り取ります。

・タネの乾燥・保管

収穫後は数日天日で乾燥させます。指でタネを外すか、目の粗い網（焼き肉用など）に花冠をこすりつけてタネを外し、ふるいを使ってゴミを除きます。タネは密閉容器（袋）に乾燥剤（シリカゲルなど）と共に入れ、涼しい場所で保管します。

・発芽調査

タネどり直後のタネには休眠といい、播いても発芽しない性質があります。品種によって異なりますが、４～８週間程度の休眠期間があります。発芽調査はその後に行ってください。